北澤康吉/ロジャース流カウンセラー

 イジメにもいろいろあります。周りの者たちから見れば、軽いシカトや、からかいや、「バイ菌、バイ菌」「臭い、臭い」と言って皆で囃(はや)し立てるようなもの、殴る蹴るといったものまで、その強弱も含めて形態は様々でしょう。しかし、それをされる側がどう感じたのか、どれ程のダメージを受けたのかが判断基準の全てなのです。

D子ちゃん。周りの者たちからは「軽いシカト」にしか見えなかったでしょう。それをした数人の仲間もそう思い、深刻には感じなかったことでしょう。それまで友達だった数人の子からのシカトでした。しかし、彼女はその後10年近くにわたって大変な苦しみ方をします。

 イジメのことで一番危険なのは、「それでも頑張って登校する」ケースです。例えとして適当かどうか、放射能によって被爆する状態を連日続けるのと似ております。周りの大人たちから見れば、あるいは先生たちから見れば、「○○君は立派だ。イジメに遭いながら、それでも頑張って学校へ来ている」となります。

イジメに対して何にも感じない人がもしこの世にいれば、あるいはそれでも良いかも知れません。しかし、事実はイジメをきっかけに心の中は強烈な「恐怖」「不安」といったもので溢れかえるほどになります。

 それでも歯を食いしばり、顔面蒼白で、吐き気を我慢しながら頑張るのです。どういう訳かそのぎりぎりまで頑張ってしまう人がいるのです。大きなダメージを受け続けることになります。恐い夢を見たり、うなされたりしながら、極度の恐怖のところでなお頑張って登校することになります。どうしても後々まで尾を引く程の大きな深い傷がついてしまうのです。

 私たちの所へ相談に見える人の中でとりわけ年齢の高い人、20代後半、30代、時には40代の方の大半はイジメに晒(さら)されながら頑張ってしまった人たちです。外面的には頑張って小学校を、中学校を、高校を卒業したように見えます。

しかし、心はひどいダメージを受けており、それが未解決のまま高校、大学などへ進むわけです。その途中でとうとう動けなくなる人、あるいは職に就いてから動けなくなる人など様々ですが、この諸君は決定的な傷を長期にわたって負っておりますので、その年齢になってからでは簡単にそれを超えるのが難しくなるのです。

 イジメに遭ったら、まずその危険な場所を避ける。避ける場所は家しかないはずですから、しばらく家という一番安全な場所に「こもる」。そして、その期間を無事通り抜ける。たとえそれが2、3年に、あるいは数年に及ぼうが、そうするのが一番安全で、かえって先の展望がより早くはっきりと見えてくるのです。

 イジメに遭いながら頑張らないこと。これを本人も周囲も判断の基準の一番中心に置くことが何より大事だと思います。