北澤康吉/ロジャース流カウンセラー

 「どうして生きなきゃならないの」「もう死にたい」「死んでやるから」と言う諸君がおります。親はドキッとします。「大変なことになった」と思うかも知れません。

 苦しみのところから発せられた言葉です。「苦しいよ」「とっても苦しいよ」という別の表現です。そう言われたお母さんは一所懸命「なぜ生きるのか」を答えようとします。今までの人生経験、知恵を総動員して答えます。その場は何とか収まるかも知れません。しかし、また数分後には同じ質問を諸君はするのです。

 苦しいのです。辛いのです。そのことをたまたまそういった言葉で表わしているのです。伝えようとしているのです。したがって、その苦しさ、辛さのところにこそ応答しなければなりません。字面(じづら)にとらわれていると、言葉の虚しい堂々巡りになります。

 諸君は生きたいのです。切実に生きたいのです。より納得できる生き方をしたいのです。それがすっかり分からなくなって、どうしたらよいか途方に暮れているのです。

「死にたいほど辛いんだよね」「とっても苦しいんだよね」のところで応(こた)えなければならないのです。私たちのやっているロジャース流カウンセリングは、まさにそういった応答をしているのです。諸君は「自分の苦しさをちゃんと分かってくれている」と初めて思えるのです。受けとめてくれた手応えを感じ、ほっとするのです。

 言葉の裏側に流れている気持ちの方に添っていくことが大事なのです。

 親子の場合も同じでしょう。ただし、親子は近過ぎる関係ですから、カウンセラーと同じような応え方をすれば、「分かったような口をきくな」と言われるかも知れません。黙っていれば「何とか言え」と叱られますし、言えば言ったでまた叱られます。親もほとほと困るわけですが、せめて言葉で表現しなくても、心の奥で子どもの気持ちの方にぴったり寄り添っていれば、「なんか分かってくれてるみたいだ、おふくろは」といった気持ちに諸君はなってくれます。 

 ホッとできて、家がより居心地の良い「居場所」になるのです。