北澤康吉/ロジャース流カウンセラー

 「家庭内暴力」という形で行動に現れることがあります。ご本人にとってもご家族にとっても、つらい大変な現れです。「昨日、大プッツンしちゃった」とA君。「自分であって自分でないような感じだった」とB君。この時は目つきまで別人のように変ります。冷静にコントロール出来なくなった状態です。説得してもダメです。ましてこちらが対抗しようとしたらなお大変なことになります。「こんな時こそ親は逃げるべきではない」「父親だったら、正面から身体を張って子供に立ち向かうべきだ」という人がおりますが、全くの間違いです。呑気な机上の空論です。

 まず逃げましょう。その状況からさっと離れましょう。逃げずにいたら、暴力は本人が疲れ果てるまで続きます。その時のあなたはただのサンドバッグと同じなのです。終ってそれから醒めたあと、いちばん傷つくのはお子さん本人です。そんなことをさせてはなりません。新たなストレスを加重するだけです。「そうなりそうだな」と予感したら、すっとその場から離れましょう。相手がいなければ家庭内暴力は成立しません。

 家庭内暴力はほとんどがお母さんに向けられます。けっしてお母さんが悪いからではありません。育て方に問題があったからではありません。お母さんがいちばん大事な人だからです。この苦しさをいちばん伝えたい人、いちばん分ってくれる人だからです。

 つらい大変な時ですが、自分を責めて、お母さん自身が元気をなくすことのないように。「苦しいのは俺一人で沢山だ。テメエぐらいは情けない顔をするな」と言ったC君。一見、無理難題を吹っかけているように見えて、実は彼の切実な心の叫びなのです。