北澤康吉/ロジャース流カウンセラー

 心は緩慢な、時にはイジメのように急激なストレスによって、もともとその奥深くにある「恐怖、不安、怒り」といったものでいっぱいになります。あふれ返る程になります。すると心は今度はその吐き出しを始めます。身体に「症状」のように現れることもあれば、いろいろな「行動」に現れることもあり、時にはそのまま「恐怖・不安」として現れることもあります。

 急に「トイレに一人で行けなくなる」子がおります。下に弟や妹が生まれ、お母さんの愛情・関心がそっちへいってしまった(ように見える)(事実がどうかではなく、その子にはどう感じられたかが全てです。人は心理的な生き物ですから)。これは小さな子供にとって最大のストレスです。心は不安や恐怖でいっぱいになります。今まで何でもなく一人でトイレへ行けていたのに、急に「トイレが怖い。一緒に行って」と言うようになります。「自分の方へ愛情を向けさせようとしているのだ」「わざとやっているのだ」と思ってはいけません。気持ちよくやさしく一緒に行ってあげましょう。「もうお兄ちゃん(お姉ちゃん)でしょう。甘えちゃダメよ」は実はとても間違った対応なのです。子供を傷つけます。混乱させます。その状態をかえって長引かせます。「僕は意気地のない弱虫なんだ」といった意識をもたせてしまいます。自己像の形成に大きなキズをつけます。「わざとやっているのだ」と思えば可愛くないですが、「訳もわからぬ不安や恐怖でいっぱいになったのだ」と思えば、いとおしく、眠たくても「うん、いいよ。いっしょに行こうね」という気持ちになれます。年齢によってはそれが「視線・対人、赤面、不潔、虫への恐怖」となったり、「将来への強い不安」といった形になることもあります。現れる姿は様々でも、「強い恐怖や不安の吐き出し」ということでは共通しているのです。いろいろなものが「不安や恐怖の対象」になりますが、これもその時々の大事な姿なのです。