大村洋一/NPO法人自然学校ふる里あったかとお 理事

暑い季節となってきた。その暑い最中、力仕事で流す汗は実に心地よいという気分を久しぶりに味わった。

昨年から「あったかとお」ではトンボ池ビオトープ(生き物の住む場所という意味)作りを始めたが、今年になってやっと本格的な作業ができ、池掘り作業がいっきに進んだ。谷あいにある放置休耕田で、泥だらけになりながら泥田掘りをした。最初はやや重い気分であったが、作業を始めるとほどなく、無心にもくもくと大汗をかきながら作業に没頭していた。少しずつ池が形になってくるとさらに面白くなってきた。

泥を運びながら、私の中学学校時代には「土方(どかた)」という時間があったことを思い出した。おそらく授業時間の一部を削って、生徒が学校校舎などの増築を手伝う時間に当てられていたのだと思う。「土方」という名前が指す通り、掘り起こした土砂などを一輪車で運ぶなどの力仕事であったように思う。勤労奉仕といえばそうであろうが、辛かった記憶はまったくない。
 
 この冬に子どもたちと炭作りを行ったところ、彼らは炭で顔を真っ黒にしながらも窯から焼きあがった炭を出したり、新たな炭焼きのために木材を窯の奥に運び込んだりした。こんな作業は嫌がるかなと思ったが、正直予想外なことに子どもたちは進んで「僕も僕も・・」と先を争って、手伝おうとしてくれたのである。日頃、片付けや掃除などあまりやろうとしない彼らが、である。本来、子どもたちは体を動かす仕事が好きなんだということを実感した。最近の子どもたちには、スポーツの汗ではなく、労働で汗をかくことが少ない。そして労働の結果、生まれる成果を肌身に感じることは多くはないのだろうと思う。

物つくりのために力仕事に精を出すこと、それは実は楽しいことだと体験することは必要だ。自分の汗が次第にはっきりとした物の形になること、多少の苦労があっても面白いと思えるのではないのだろうか。それに気がつく機会が子どもたちにとっても、そして大人にとっても今はあまりに少ない気がする。
 たまには泥にまみれた作業もいい。

平成21年7月29日付け 読売新聞長野版コラムより