2004年を思い返してみると、いろいろな事がありました。10月23日に起こった新潟県の地震や、最近の様々な悲しい事件のため、オリンピックが遠い過去のような気がします。

 ひきこもりの青年が両親や兄弟を殺害してしまうという事件を知って、不安や動揺を覚えた方々も多くいらしたのではないかと思います。極限まで追い詰められていった青年たちの心と、ご両親の苦悩を思うと本当に切なくなります。そして、こんな悲惨な結末を迎える前に、なんとか食い止める手立てがなかったかと思わずにはおれません。「家族だけで解決しようとせずに、ありのままを語り合える仲間がいたら・・・。」「信頼できる人との出逢いが青年にあったなら・・・。」とついつい、あれこれ思い巡らせてしまいます。

 子どもサポートプランは、県下7地域で発足した民間主導による官民協働の不登校・ひきこもり支援事業です。「民間」の母体となっているのが「親の会」です。もちろん教育関係者や心理の専門の方々をはじめ、多くの地域の方々の協力があっての支援事業ではありますが、基本的には、支援を受けるのも『当事者』なら支援するのも『当事者』ということがとても重要なことだと思っています。実際、上伊那地域の子どもサポートにも、不登校の子を持った(持っている)親や、不登校経験のある若者がスタッフとして関わっています。それは、人間が悩んだり行き詰まったりすることは、その人のそれまでの生き方や価値観とは違う新しい生き方や価値観へと変容するために必要な体験だと実感しているからです。今、悩んでいる子どもたちや親御さんたちの悩みを取り去るのではなく、その悩みを尊重し深めることが大切だと思います。その第一歩が、「悩んでいるのは、あなた一人ではない」ということを知ってもらうことだろうと思っています。

 私自身、不登校の子を持った経験のある親として子どもサポートに関わるようになって、さまざまな「親の会」があることを知りました。アトピーの子、小さく生まれた子、自閉症の子、障害を持った子、双子の子ども、等々それぞれに「親の会」があります。同じ悩みを持つ親同士が支え合うグループを作ること自体が社会に対する働きかけとなります。障害を持つ子の親の会の方々が原動力になって、作業所や授産所を生み出したり、少しずつ社会の無理解を改善してきた歴史もあります。どの親も、願っているのは、競争社会ではなくて共生社会ではないでしょうか。それは親同士がつながりを持ち合い、お互いの悩みを分かち合っていくことができる社会だと思います。

 子どもサポートチーム上伊那も、地域の学校・行政・医療等あらゆる分野の方々と協力し合って当事者である子どもたちや家族に方々の願いを実現していけたらいいなと思います。 

2005年もどうぞよろしくお願いします。


ハミング代表 戸枝智子